シート防水の塩ビ・ゴムの違い|固定方法と見積もりを確認
塩ビとゴムはシートの材質、接着と機械的固定は取り付け方の違いです。
見積書では「どのシートを、どう固定するか」を一緒に確認してください。
自宅に合うかは、今の防水、床の状態、屋上の使い方を調べて判断します。
シート防水は、水を通さないシートで屋上や床を覆う工事
工場で作られた防水用のシートを現場で広げ、床へ取り付けます。
複数枚をつなぎ、壁の根元や排水口まで、雨水が入らないように仕上げます。
代表的な材質に、塩化ビニル樹脂の「塩ビシート」と、合成ゴムを使う「ゴムシート」があります。
01|何でできたシートか
塩ビシート/ゴムシート
見積書では、製品名・厚さ・表面の仕上げを確認。
02|床にどう取り付けるか
接着/機械的固定
見積書では、接着剤や固定部材、取り付ける床を確認。
「塩ビかゴムか」を決めても、固定方法の確認は必要です。
「塩ビなら金具、ゴムなら接着剤」と決まっているわけではありません。
日新工業の工法比較表では、両方の材質に接着・機械的固定の工法が掲載されています。
製品名と、その製品に対応する固定方法を一組にして確認しましょう。
日新工業のシート防水の工法比較
スマートフォンでは、表を横に動かして続きを確認できます。
| 材質 | 基本の特徴 | 製品ごとに確認すること |
|---|---|---|
| 塩ビシート | 塩化ビニル樹脂を柔らかくしたシート。製品によって、接着・機械的固定の仕様があります。 | 厚さ、シート内の補強材の有無、固定方法、継ぎ目の接合、歩ける仕様か。 |
| ゴムシート | 合成ゴムを使う伸縮性のあるシート。 | 具体的な製品、固定方法、継ぎ目の材料、表面を保護する塗装。 |
たとえば日新工業のゴムシート「NPシート2号」は、合成ゴムのシートを接着剤で貼る工法です。
屋外へ露出させる仕様では、紫外線や熱による劣化を防ぐ仕上げ塗料も必要と案内されています。
NPシート2号の公式製品情報
同じ材質でも製品・厚さ・仕上げが違います。
「塩ビは必ず歩ける」「ゴムは必ずこの年数もつ」と、材質名だけで判断しないでください。
塩ビ・ゴムの見分け方
施工時の図面・仕様書・工事明細にある材質と製品名を、最初に確かめましょう。
表面の色や写真だけで材質を決めず、記録と現地調査を組み合わせます。
確認のために自分でシートをはがしたり、継ぎ目を切ったりしないでください。
1 施工時の書類を探す
図面・仕様書・工事明細などで、シートのメーカー・製品名・厚さと、接着か機械的固定かを調べます。
「シート防水一式」だけなら、製品名まで施工会社へ聞きましょう。
2 製品名をメーカー資料と照合する
製品名が分かれば、メーカーの資料で材質と対応する工法を照合します。
以前の工事後に重ね張りや保護塗装をしていないかも、工事履歴と合わせて伝えましょう。
3 不明な部分は調査で確かめる
書類がない場合は、施工時期、分かる範囲の工事履歴、全体と継ぎ目・端の写真を施工会社へ伝えます。
材質の判断根拠と、追加の調査が必要な部分を説明してもらいましょう。
材質を確かめることと、防水の傷みや下地の状態を調べることは別です。
材質が分かっても、そのまま上へ重ねて施工できるとは限りません。
古い防水を残せる条件も合わせて確かめてください。
「今のシートの材質・製品・固定方法は何を根拠に判断しましたか? 書類や現地調査で分かったことと、まだ分からないことを分けて教えてください。」
接着工法と機械的固定工法は、床へ取り付ける方法が違う
接着工法
青:防水シート
茶:接着剤
灰:工事する床
床に接着剤を塗り、シートを貼ります。
機械的固定工法
青:防水シート
茶:固定金具と下の材料
灰:工事する床
床に固定した金具などと、シートをつなぎます。
図は取り付け方の違いを示すイメージです。
固定部材の位置や順番は製品の仕様で変わります。
接着工法|床の乾燥と、接着できる表面を確認
下地とは、シートを取り付ける床や壁の表面のことです。
接着工法では、その表面にシートを貼るため、水分や浮き、汚れなどを調べ、必要な処理を行います。
接着剤の種類や塗る方法も、採用するシートの仕様を確認します。
機械的固定工法|固定する床と、金具の配置を確認
「機械的固定」は、機械を使って貼るという意味ではなく、金具や留め具で固定する方法です。
ロンシール工業では、円形の固定ディスクを使う工法を案内しています。
金具を先に固定する方法と、シートの上から固定する方法があるので、使う部材と手順を説明してもらいましょう。
屋上の高さや風の影響も、固定方法を検討する条件です。
「古い防水を残せるから」という説明だけでなく、どの床へ、どの部材を、どの間隔で固定するかも確認します。
ロンシール工業の施工方法の解説
「このシートをこの方法で固定する理由は何ですか?床の状態と、使う金具や接着剤を説明してもらえますか?」
古い防水を残すなら、下の状態と材料の相性を確認
古い防水の上へ新しい防水を重ねる方法を「被せ工法」といいます。
撤去する範囲が減ることがありますが、すべての床で採用できるわけではありません。
古い防水の種類、浮きや水分、新しい材料との相性、固定できる床かを調べてもらってください。
日新工業は、既存のシート防水の改修で機械的固定工法を選ぶ理由として、接着強度の確保が難しいことを挙げています。
一方で、面積・状態・床の構造によっては撤去も検討すると案内しています。
日新工業の改修防水工法の選定
「古い防水を残す場所と取り除く場所を、図面や写真で分けてもらえますか?残してよい理由も教えてください。」
シートの継ぎ目・端・排水口まで、仕上げを確認
シートの面を覆うだけでは工事は終わりません。
シート同士の継ぎ目、壁の根元、雨水を流す排水口、手すりの支柱まわりを、それぞれつなげて仕上げます。
- 白い縦線=シートの継ぎ目:隣り合うシートの接合。
- 茶色の帯=壁の根元:床から壁へ防水をつなぐ「立ち上がり」。
- 右下の丸=排水口:雨水の出口。「ドレン」とも呼びます。
- 左の丸=支柱の根元:手すりなどが床を貫く場所の仕上げ。
塩ビシートの継ぎ目には、熱や専用の溶着剤でつなぐ仕様があります。
溶着とは、シートの接合面を一体につなぐ作業です。
ゴムシートも含め、採用製品に指定された接合材料と手順を確認してください。
日新工業のシート防水の接合説明
見積書は、製品・固定方法・補修・撤去をそろえて比較
費用はシートの材質だけでは決まりません。
固定部材、古い防水の撤去、床の補修、壁の根元や排水口の作業も総額へ影響します。
「シート防水一式」の中に含む作業を、数量と単価に分けてもらいましょう。
スマートフォンでは、表を横に動かして続きを確認できます。
| 見積書の項目 | 比較する内容 |
|---|---|
| シートの製品 | メーカー・製品名・厚さ(mm)・施工する面積(㎡)。 |
| 固定する作業 | 接着剤や固定部材、床の処理、固定の仕様。 |
| 撤去・処分・補修 | 古い防水を取り除く面積(㎡)、ひびや浮きの補修。 |
| 壁の根元・端の固定 | 床とは別の面積(㎡)や長さ(m)、端を押さえる部材。 |
| 排水口・支柱 | 数量(箇所)と、交換・補修の作業。 |
| 仕上げと工事後の対応 | 保護塗装、歩行条件、点検、保証する会社と対象。 |
A社:床+排水口の改修
床40㎡のシート防水。
排水口2か所の改修も含む。
B社:床のシート防水
床40㎡のシート防水。
排水口の改修が、記載されていない。
面積・数量は説明用の仮定です。
B社に「排水口2か所の改修も入っていますか」と確認します。
必要な作業が決まったら、両社に同じ範囲で見積もりを依頼してください。
総額の読み方や、費用に加わる作業を先に知りたい方は、屋上防水の費用と見積もり →をご覧ください。
工法名だけを入れ替えて、同じ工事として金額を比較しないことが大切です。
屋上を歩く使い方と、保証の対象を確認
洗濯物を干す、椅子を置く、普段は設備の点検でしか入らない。
屋上の使い方によって、必要な仕上げが変わります。
シートの製品には歩行に対応する仕様と、普段の歩行を想定しない仕様があるため、予定する使い方を先に伝えましょう。
ロンシール工業の工法・適用部位
「軽歩行」は、人が歩く使い方を想定した仕様の区分です。
人が歩ける仕様でも、重いプランターや設備を直接置けるとは限りません。
物を置く場所の保護、清掃方法、定期点検を相談してください。
保証書では、破れや雨漏りなどの対象、対象外となる使い方、連絡先を確認します。
日新工業の使用・維持管理資料
シート防水の種類と固定について、よくある質問
Q. 塩ビシートとゴムシートは、どちらを選べばよいですか?
A. 材質名だけで決めず、今の防水・床の構造・屋上の使い方に合う製品と工法を選びます。
提案が違う場合は、それぞれを採用する理由を調査写真と合わせて聞いてください。
Q. 塩ビシートなら、必ず機械的固定ですか?
A. いいえ。
メーカーは塩ビシートの接着工法と機械的固定工法を案内しています。
採用する製品に対応する固定方法を、見積書で確認しましょう。
Q. 古いシートを全部はがさずに直せますか?
A. 状態と仕様によって、残して改修できる場合があります。
浮き、水分、接着や固定の条件を調べ、部分撤去・全面撤去が必要か確認してください。
Q. シートの工事中も屋上を使えますか?
A. 接着剤や接合部の施工中など、立ち入りを控える時間があります。
利用できない日、設備の移動、再び使える時期を工事前に確認してください。
参考にした一次資料
- KRK 合成高分子ルーフィング工業会:防水層の劣化診断(2026年11月4日確認)
- ロンシール工業:接着工法と機械的固定工法
- ロンシール工業:製品・適用部位
- 日新工業:NPシート2号
- 日新工業:改修防水工法の選定
- 日新工業:使用・維持管理
既存資料の確認日:2026年10月13日。
今回の追加資料は各リンクに確認日を記載。