ウレタン防水の密着工法・通気緩衝工法|費用と選び方

2026年10月16日

ウレタン防水の密着工法と通気緩衝工法は、床と防水の膜の間に、湿気の逃げ道を作るかが違います。
通気緩衝工法では専用のシートと、湿気を外へ出す部材を使います。
どちらにするかは、今の防水や床の水分・傷みを調べてもらって決めましょう。

ウレタン防水は、液体を塗って水を通さない膜を作る工事

屋上やベランダの床に、液状のウレタン樹脂を塗り、固めて防水の膜を作ります。
この膜を「防水層」、膜を施工する床や壁の表面を「下地」といいます。
一番上に塗る「トップコート」は、膜を日差しなどから保護する仕上げの塗料です。

床と防水膜の間に注目

密着工法

密着工法の断面。下塗りした床の上にウレタンの防水膜を塗る。

緑:ウレタンの防水膜
茶:接着のための下塗り
灰:工事する床
床を整え、下塗りをしてから防水材を塗ります。

通気緩衝工法

通気緩衝工法の断面。シートを通り、水蒸気が脱気筒から外へ出る。

緑:ウレタンの防水膜
茶:通気緩衝シート
青:水蒸気が進む方向
シートを通り、筒の出口から湿気を外へ逃がします。

図は部材の位置を示したイメージです。
厚さや施工する層は、採用する製品の仕様に合わせます。

密着工法|床の表面に防水膜を接着させる

床を清掃し、必要な補修を行ってから、プライマーという下塗り材を塗ります。
その上へウレタンを塗り重ねます。
古い防水を残す場合は、新しい材料が十分に接着できる状態か、確認が必要です。

通気緩衝工法|床から出る湿気の逃げ道を作る

床に残る水分が温まると、水蒸気になります。
防水膜の下に水蒸気がたまると、膜を押し上げてふくれを起こすことがあります。
通気緩衝シートと脱気筒(だっきとう)を組み合わせ、膜の下の湿気を外へ逃がす方法が通気緩衝工法です。

脱気筒は、屋上に取り付ける小さな筒状の出口です。
雨水を流す排水口とは役割が違います。
関防協の通気緩衝工法の解説でも、通気層と脱気筒の役割を確認できます。

工法は、床の水分・今の防水・施工場所から確認

「広いから必ず通気緩衝」「ベランダだから必ず密着」と、場所の名前だけで決めないでください。
業者に現地を調べてもらい、床の水分、今の防水の種類、ふくれやはがれを写真で説明してもらいましょう。

スマートフォンでは、表を横に動かして続きを確認できます。

確認する場所・状態提案の理由として聞くこと
古いウレタン防水を残す新しい材料が接着できるか。浮いた部分をどこまで取り除くか。
防水の下にコンクリートがあるコンクリートに残る水分をどう確認し、逃がすか。
床にふくれ・ひびがある表面の傷みか、防水膜や床にも問題があるか。補修後に施工できるか。
壁の根元・段差・支柱がある床と同じ工法か。細かい場所には別の仕様を使うか。

メーカーの日新工業は、既存の防水ごとに改修方法を案内しています。
同社のウレタン防水では、保護コンクリートの改修と、既存ウレタンの改修で工法の選び方が異なります。
自宅でも、今の防水の種類を確認することから始めましょう。
日新工業の改修防水工法の選定。

業者に確認すること

「密着工法ではなく通気緩衝工法を選ぶ理由を、床の状態と写真で説明してもらえますか?」

費用の違いは、シート・脱気筒・補修の内訳で見る

通気緩衝工法では、専用シートや脱気筒などの部材と、取り付ける作業が加わります。
ただし、密着工法で大きな補修や撤去が必要なら、工法名だけで総額の高い・安いは決まりません。
防水工事の単価に含む作業と、別の費用を分けて比べましょう。

メーカーの設計価格は、自宅の見積もり額と分けて読む

田島ルーフィングの「GO-JIN」設計価格表(2026年7月9日更新)では、通気緩衝複合工法GOW-2VAの平面部は17,400円/㎡です。
新築に適用する設計価格で、材料費と施工費を含みます。

屋根面積300㎡以上が標準で、300㎡未満は割増しとなります。
消費税・運賃・法定福利費(作業員の社会保険料などの会社負担分)・床を整える費用は含みません。
古い建物の改修では、床の種類に合わせた下塗り材の変更などの費用も確認してください。

自宅の見積書では、防水材を施工する費用のほかに、撤去・床の補修・脱気筒などの費用が含まれるかを確認しましょう。

これは特定製品・仕様の設計価格です。
小さなベランダの工事代や、全国の実売相場に、そのまま当てはめることはできません。
田島ルーフィングの現行設計価格表で対象と条件を確認できます。

スマートフォンでは、表を横に動かして続きを確認できます。

見積書の項目数量の書き方確認する内容
ウレタン防水床・壁の根元ごとの㎡メーカー、製品、工法、使用量、仕上げ。
通気緩衝シート㎡床のどこに敷くか。防水単価の中か、別項目か。
脱気筒箇所・個必要数と位置、その理由。設置費を含むか。
古い防水の撤去・処分㎡・一式の内訳残す場所と撤去する場所、処分費。
床の補修㎡・m・箇所ひび、段差、浮きの作業範囲。
排水口・壁の根元箇所・m・㎡床とつながる部分の防水をどう仕上げるか。
説明用:工法が違う2社の提案を受け取ったら

A社:密着工法

密着工法の断面。下塗りした床の上にウレタンの防水膜を塗る。

見積書に「ウレタン防水30㎡」。
床の補修内容と、古い防水を残せる理由を聞く。

B社:通気緩衝工法

通気緩衝工法の断面。シートを通り、水蒸気が脱気筒から外へ出る。

見積書に「ウレタン防水30㎡・脱気筒」。
シートの範囲と、湿気対策が必要な理由を聞く。

数量30㎡は説明用の仮定です。
両社の調査結果を聞き、採用する工法が決まったら、同じ製品・作業範囲で再見積もりを依頼してください。
必要な湿気対策を外す指定はしないでください。

床だけでなく、壁の根元と排水口の作業も確認

「立ち上がり」は、床の周囲にある壁の根元です。
床から壁へ防水をつなげる部分なので、床とは分けて作業と面積を確認します。
排水口を指す「ドレン」は、屋上に降った雨を外へ流す出口です。
交換や補修を行うか、見積書を確認しましょう。

田島ルーフィングのGOW-2VA仕様でも、平面部と立ち上がり部の工程は分かれています。
床は通気緩衝、壁の根元は別の施工手順という提案もあるため、屋上全体が同じ断面と考えないことが大切です。
GOW-2VAの公式仕様工程。

業者に確認すること

「床、壁の根元、排水口で、どこまでがこの見積もりに含まれますか?図面に印を付けてもらえますか?」

工程写真と保証書を、工事前にお願いする

完成後はシートや床の補修が見えなくなります。
「床を直した状態」「シートと脱気筒を取り付けた状態」「防水材を塗った工程」の写真を残してもらいましょう。
製品名と使用量の記録も、採用した仕様を確認する手がかりになります。

保証は年数だけでなく、対象となる不具合、保証する会社、連絡先、必要な点検を確認してください。
トップコートの塗り替え時期と費用も聞いておくと、工事後のお手入れを計画できます。

ウレタン防水の工法について、よくある質問

Q. 通気緩衝工法のほうが、必ず自宅に合いますか?

A. いいえ。
床の状態、今の防水、製品の仕様により適した方法が変わります。
水分やふくれへの対策が必要か、調査結果を聞いて判断しましょう。

Q. 通気緩衝シートを敷けば、床の補修を省けますか?

A. 省けるとは限りません。
浮きや段差、ひびなどに必要な処置をしてから施工します。
シートの下の補修範囲も見積書に残してもらってください。

Q. 脱気筒は雨水を流す部品ですか?

A. いいえ。
防水膜の下の湿気を外へ出す部材です。
雨水の出口である排水口(ドレン)とは用途が違います。

Q. 表面の塗り替えと、ウレタン防水は同じ工事ですか?

A. トップコートだけを塗り替える工事と、防水膜を作り直す工事は範囲が違います。
見積書に「トップコート」とある場合、どこまで直すかを確認してください。

参考にした一次資料

情報確認日:2026年10月13日。