塗料が付きにくいサイディングとは?光触媒・無機系外壁の塗り替え

難付着(なんふちゃく)サイディングとは、表面の加工によって、新しく塗る塗料が密着しにくい外壁板のことです。
塗り替えが可能な製品もあります。
自宅でできるかは、外壁の品番・今の塗膜の状態・対応する下塗りと上塗りで確認します。

サイディングは、家の外側に張る板状の外壁材です。
この記事では、セメントなどを主な原料とする窯業系サイディングのうち、光触媒・無機系などの表面加工がある外壁の確認方法をご紹介します。

難付着サイディングは、表面への密着を確認

外壁板の表面には、汚れにくさなどのために加工が施されている製品があります。
光触媒は、光の働きを利用して表面の汚れを分解するなどの機能を持たせる加工です。
無機系やフッ素系なども、既存の表面に塗料が付きにくい場合があります。

ここでいう「無機系の外壁の表面加工」と、今回塗る「無機塗料」は別の確認事項です。
仕上げの塗料が高耐久でも、その下で密着していなければ十分ではありません。
外壁に接する下塗りから確認しましょう。

次の図は、壁を横から見た断面です。
左が外壁板で、右へ進むほど外側を表しています。

塗膜が付く場所を見る

密着していない

説明用断面。茶色は外壁板、青は既存の表面加工。新しい緑の塗膜が既存面から離れている状態

茶色は外壁板、青は既存の表面です。
緑の新しい塗膜が離れている状態を示しています。
塗膜とは、塗料が乾いてできる膜です。

下塗りを確認

説明用断面。外壁板と既存面の外側に黄色の適合する下塗り、緑の新しい塗膜が重なる状態

黄色は下塗り、緑は仕上げの膜です。
既存面へ適合する材料を選び、必要な下地処理をしてから塗ります。

この断面は、層の関係を示す説明図です。
実際の厚さや材料の数は製品で異なります。
外壁の種類を調べることと、今残っている塗膜や外壁板の傷みを調べることは、両方必要です。

外壁の品番と表面加工を調べる

見た目がつるつるしている、築年数が浅い、汚れが少ないという特徴だけで、塗り替え方法は決められません。
建築時の資料と、前回の塗り替え記録を探すところから始めます。

品番から仕様へつなぐ家の外壁の写真と製品資料を対応させる確認図。建築時の資料から外壁板のメーカーと品番を調べる
  1. 建築資料を探す仕様書・外壁の保証関係書類・引き渡し資料から、メーカーと品番を探します。
  2. 住宅会社へ照会分からなければ、建てた住宅会社や工務店へ外壁の資料を確認します。
  3. 改修仕様を確認施工会社から、外壁材・塗料のメーカーへ、今回の製品と状態に使える仕様を確認してもらいます。

以前塗り替えている家は、新築時の外壁加工だけでなく、現在いちばん外側にある塗料も確認します。
増築や一部の張り替えがあれば、壁ごとに製品が違うことも伝えてください。

下塗りは製品名・色・上塗りとの組み合わせで確認

下塗りは、仕上げの塗料より先に塗り、外壁面との密着などを助ける作業です。
シーラーやプライマーと呼ばれる材料を使います。
「難付着対応」という呼び方だけでなく、具体的な製品名・色・施工条件を確認してください。

メーカー・製品公式に確認できる対象・条件見積書で確かめること
アステックペイント
『プレミアムSSシーラープライマー』
フッ素・無機系塗膜に対応。光触媒は白色・グレーのみで、透明は対象外。同じ製品名でも、使う色と既存面が適合するか。
エスケー化研
『エスケーハイブリッドシーラーEPO』
光触媒・無機系コーティングを含む窯業系サイディングに対応。光沢が残る未劣化面には目荒しを指定。表面を研磨して整える処理と、適用する上塗りを含む仕様。
スズカファイン
『WBグリップシーラーEPO』
特殊コーティングされた窯業系サイディング向け。コーティングによっては付着しにくいため、事前の試験塗りを案内。自宅の外壁で試す場所・仕様と、結果の報告。

この表は製品ごとの条件の例です。
すべての外壁へ同じように使えるという意味ではありません。
外壁材メーカーの改修指定と、塗料メーカーの適用資料を照合してもらいます。
目荒しとは、表面を研磨して塗料が付く状態へ整える作業です。
自己判断で壁を削らず、施工会社へ処理方法を確認しましょう。

仕上がりの色や模様を残したい場合も、先に希望を伝えます。
下塗りが透明でも、その上に透明なクリア塗料を使えるとは限りません。
透明仕上げは、サイディングのクリア塗装で確認する条件もご覧ください。

試し塗りと施工条件を確認する

試し塗りは、予定する材料を外壁の一部へ塗り、付着状態などを確かめる作業です。
スズカファインも、専用の下塗りを使う場合に、事前の試験塗りと付着性の確認を案内しています。

小さく試して記録する壁の小さな範囲に予定する塗料を試し塗りし、場所を記録する図。試験方法や期間はメーカーと施工会社へ確認する

緑の部分は試す範囲です。
場所・既存面・下塗りと上塗り・塗った日・確認方法・結果を、写真や書面で残してもらいます。
図の大きさは試験面積の指定ではありません。

試験の方法や、塗ってから確認するまでの時間は、採用する材料の資料に沿って施工会社へ説明してもらいます。
小さな範囲の試験結果だけで、家全体の長期保証が決まるわけではありません。
壁ごとの状態も調べてもらいましょう。

施工時は、洗浄後に乾かすこと、必要な表面処理、材料を塗る量、次の材料を塗るまでの時間を確認します。
工程間隔は、下塗りの後、上塗りへ進むまでの時間です。

例えば『プレミアムSSシーラープライマー』の公式仕様では、外気温25℃の場合、次の条件が示されています。

  • 水性の上塗り:3時間以上、5日以内。
  • 弱溶剤形の上塗り:16時間以上、5日以内。

弱溶剤形は、塗料用シンナーなどを使うタイプです。
この時間は上記製品の条件で、ほかの下塗り材へそのまま当てはめません。
次を塗れるまでの待ち時間と、塗り重ねる期限を両方確認し、今回の仕様と当日の気温・天候に合う工程を説明してもらいましょう。

見積書で工事範囲と数量をそろえる

総額を比べる前に、塗る面積と、そこまでに必要な調査・処理をそろえます。
難付着という名称だけで決まる一律の追加料金は示せません。
足場・洗浄・試験・表面処理・下塗り・上塗り・補修のうち、含む作業と別料金の作業を分けて見積もってもらいましょう。

確認項目残す内容・単位施工会社へ聞くこと
既存の外壁メーカー・品番・表面加工・前回塗料どの資料と調査で確認したか
試し塗り・下地処理試験する場所と面積㎡、研磨・補修の範囲㎡やm費用に含むか。結果と処理範囲を報告するか
下塗り・上塗りメーカー・製品名・色・塗装面積㎡・回数指定の塗る量と乾燥時間を満たす仕様か
足場・付帯部・合計足場㎡、つなぎ目m、その他内訳と税込総額壁以外の工事、設置・撤去・処分まで含むか
保証対象の不具合・期間・対象外・連絡先塗膜のはがれなどが、今回の工事保証の対象か

説明用の例として、次の2案は内容がそろっていません。

  • A社:下塗りの製品名と表面処理を明記した塗装。
  • B社:上塗り名だけを記載し、下塗りと処理方法は未記載。

B社の記載がない作業を「含まれない」と決めず、まず説明と追記を依頼します。
同じ外壁に適合し、同じ補修範囲を含む仕様で、税込総額を比べましょう。

板の傷みを理由にカバー工法や張り替えを勧められたら、どの場所を残せないのか、調査結果を写真で確認します。
塗り替えと別の工事なので、外壁カバー・張り替えで変わる工事範囲も確認してください。

また、新築時の外壁製品の保証と今回の塗装工事の保証は別に確かめます。
住宅会社との保証関係は、ハウスメーカー以外へ工事を頼む際の確認点をご覧ください。

難付着サイディングのよくある質問

Q.築年数や水のはじき方で見分けられますか?

A.それだけでは、製品や塗り替え仕様を確定できません。
建築資料と塗装履歴を調べ、今の外壁の状態を施工会社に確認してもらいます。
判別のために自分で薬品を使ったり、壁を削ったりすることは避けましょう。

Q.上塗りを無機塗料にすれば塗れますか?

A.上塗りの種類だけでは判断できません。
既存面に合う下塗りと下地処理、その上に使える仕上げ塗料の組み合わせを仕様書で確認します。

Q.外壁の製品名が分からないと相談できませんか?

A.分からないことを伝えて、調べるところから相談できます。
建てた住宅会社や工務店へ問い合わせ、手元の資料と過去の工事記録を施工会社に見せましょう。
推測だけで工法を決めず、確認する方法を聞いてください。